十全大補湯
体質:気血不足
「気血不足」とは、体内の「気」(エネルギー)と「血」(栄養)が不足している状態を指します。この体質の方は、疲れやすく、顔色が悪く、冷え性やめまい、息切れが生じやすいことが特徴です。また、風邪をひいた際には体力が低下し、回復が遅れることがあります。今回の疾病は、風邪によってさらに気血が消耗し、身体が十分に回復力を発揮できないために発生していると考えられます。
漢方処方の解説
処方名:十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)
十全大補湯は、「気」と「血」を補う代表的な処方で、気血不足による疲労や免疫力の低下を改善し、体を強化する効果があります。以下に生薬の構成と役割を示します。
生薬とその解説
1. 人参(にんじん)
→ 気を補う代表的な生薬で、エネルギーを高める作用があります。全身の疲労感や免疫力低下を改善します。
2. 白朮(びゃくじゅつ)
→ 胃腸を助け、気を補います。また、体内の余分な水分を除去し、むくみを防ぎます。
3. 茯苓(ぶくりょう)
→ 胃腸機能を整え、水分代謝を改善します。全身を穏やかにサポートします。
4. 甘草(かんぞう)
→ 諸薬を調和し、炎症を鎮めます。喉や気道の炎症にも役立つ成分です。
5. 当帰(とうき)
→ 血を補い、血液循環を促進します。冷え性や月経不順にも用いられます。
6. 芍薬(しゃくやく)
→ 血を補い、筋肉の緊張を緩和します。血行を促し、頭痛やこわばりを緩和します。
7. 川芎(せんきゅう)
→ 血流を促進し、頭痛や肩こりを改善します。血行不良に特化した作用があります。
8. 地黄(じおう)
→ 血を補い、体に潤いを与えます。乾燥や熱感の緩和に役立ちます。
9. 桂皮(けいひ)
→ 血行を良くし、体を温める効果があります。冷え性や頭痛の改善をサポートします。
10. 黄耆(おうぎ)
→ 気を補い、免疫力を高める作用があります。風邪の予防や回復を助けます。
適応と使用方法
適応
・気血不足による体力低下
・風邪の回復が遅い場合
・頭痛や冷え、疲労感
使用方法
通常、煎じ薬として1日2〜3回服用しますが、市販のエキス顆粒も手軽に使用できます。服用前には専門家(漢方医や薬剤師)の指導を受けることをおすすめします。
注意点
十全大補湯は体を温める作用が強いため、熱が高い風邪や喉の渇きが強い場合には適さない場合があります。また、慢性的な体調不良に対しては長期的な服用が効果的ですが、体質や症状に合わない場合もあるため、適切な診断を受けてください。