温胆湯

体質:水湿停滞によるむくみ

患者は体内の水分代謝が滞り、むくみ(水湿の停滞)が生じています。このむくみが体内の気血の流れを阻害し、患部に過剰に気血が集中して疾病を引き起こしています。特に脾胃(消化器系)の働きが弱い場合、水湿がさらに溜まりやすくなり、症状が悪化することがあります。また、むくみがある場合は倦怠感や消化不良、重だるい感覚を伴うことが多いです。こうした症状には、温胆湯が適しています。

おすすめ処方:温胆湯(うんたんとう)

温胆湯は、中医学で「湿を除き、気を整え、胆を温める」ことを目的とした処方で、水湿や痰湿の滞りによる症状を改善します。痛みだけでなく、消化不良や不安感、むくみにも対応できます。

生薬とその効果

1. 半夏(はんげ)
→ 化痰燥湿(痰を除き、湿を乾かす)。痰湿によるむくみや頭痛を緩和します。

2. 茯苓(ぶくりょう)
→ 健脾利湿(脾を強化し、湿を取り去る)。余分な水分を排出し、体のだるさを改善します。

3. 陳皮(ちんぴ)
→ 理気健脾(気の巡りを整え、胃腸を助ける)。消化不良やむくみに効果があります。

4. 甘草(かんぞう)
→ 調和諸薬(生薬のバランスを整える)。頭痛の緩和と胃腸の保護に役立ちます。

5. 竹茹(ちくじょ)
→ 清熱化痰(痰を取り、熱を冷ます)。特に熱を伴うむくみや不快感に効果があります。

6. 枳実(きじつ)
→ 行気消積(気を巡らせ、停滞を解消する)。気滞によるむくみや頭痛を軽減します。

7. 生姜(しょうきょう)
→ 温中散寒(体を温め、寒さを散らす)。冷えによるむくみを緩和し、胃腸の働きを助けます。

8. 大棗(たいそう)
→ 補中益気(脾胃を助けて気を補う)。体全体のエネルギーを補充します。

適応症と使用方法

適応症

水湿や痰湿が原因の頭痛
むくみを伴う倦怠感、重だるさ
消化不良、不安感、胸部の不快感

服用方法

生薬を煎じて、1日2回に分けて温服します。
市販のエキス顆粒を使用する場合は、パッケージの指示に従って服用してください。

注意事項

1. 温胆湯は体を温め、湿や痰を取り除く処方です。乾燥した体質や熱が強くない場合に適していますが、体の熱が過剰な場合(喉の渇きや高熱)は使用を控えます。
2. 妊娠中や特定の持病がある場合は、使用前に中医師や医療専門家に相談してください。
3. 症状が改善しない、または悪化する場合は、速やかに医師に相談してください。

温胆湯は、水湿や痰湿の滞りが原因で起こる頭痛やむくみに効果的な漢方薬です。体内の気血の流れを整え、むくみを解消することで、全体的な体調改善を目指します。

ツボ治療の配穴

1. 足三里(あしさんり)
場所: 膝のお皿の下、外側のくぼみから指4本分下。
効果:胃腸を整え、全身の気を巡らせる。

2. 中脘(ちゅうかん)
場所: みぞおちとおへその中間。
: 胃腸の機能を調整し、胃の不快感や痰湿を改善する効果。

3. 陰陵泉(いんりょうせん)
場所:脛骨内側の膝下のくぼみ。
効果:体内の湿気を排出し、胃腸を助ける。

4. 内関(ないかん)
場所:手首の内側、手首から指3本分上。
: 胃腸の調子を整え、不安感や不眠を緩和する。

5. 豊隆(ほうりゅう)
場所: ひざから足首までの真ん中の高さで、すねの外側のくぼみ。
: 痰湿を取り除く効果、頭重感や不快感を改善する。

食べたら良い食材

1. 痰湿食材
ハトムギ、冬瓜、大根、緑豆
これらは体内の安全な湿気や痰を除去する。

2. 胃腸を温める食材
生姜、ネギ、シナモン、山椒
消化機能を高め、寒湿を和らげます。

3. 心を落ち着かせる食材
ナツメ、百合根、小豆
心を安定させ、不眠や不安を緩和する。

4. 消化食材
山芋、かぼちゃ、もち米
胃腸を強化し、気を巡らせる。

おすすめの生活改善

1. 入浴
方法:40℃程度の温かいお湯に15~20分浸かることで、体を温め、湿気を排出する。 お湯に生姜やよもぎを入れるとさらに効果的。
注意: 入浴後にしっかりと体を乾かして湿気を気にしてください。

2. 軽い運動
ウォーキング、ヨガ、気功など、無理のない運動を毎日20~30分行うことで、気血の流れを良くし痰湿を軽減します。
注意: 運動は湿気の多い環境では避け、乾燥した場所や屋内で行います。

3. 日光浴
毎日10~15分の日光浴を行い、体内の陽気を高めます。朝の時間帯がおすすめです。

4. ストレス管理
深呼吸や瞑想を取り入れて、心身をリラックスさせます。

5. 食事の注意点
脂っこいもの、冷たいもの、甘いものは控え、胃腸に負担をかけない温かい食事を摂る。

6. 睡眠環境の整備
湿度を調整し、乾燥させた空間で静かで快適な睡眠環境を作ります。寝る前のスマホやパソコンの使用は避け、心を落ち着ける工夫をします。