竜胆瀉肝湯

体質:肝火上炎による
肝火上炎は、肝の火熱が過剰になり、上昇して患部に影響を及ぼす状態です。肝は体内で血を貯蔵し、気血の巡りを調整する役割がありますが、過剰なストレスや感情の抑圧(怒りなど)によって肝の火が燃え上がると、血が患部に過剰に巡り、疾病を引き起こします。

このタイプの頭痛は次のような特徴があります:

頭がズキズキ痛む
頭部の熱感、顔のほてり
目の充血、目の痛み
イライラ、怒りっぽい
口の苦み、喉の渇き
睡眠の質が悪い(多夢、不眠)

 

おすすめ処方:竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)

竜胆瀉肝湯は、肝火を鎮め、湿熱を取り除く(清肝瀉火・清熱利湿)効果を持つ処方です。肝火が過剰になったことで生じる症状、特に頭痛や目の症状に対して非常に効果的です。

 

生薬とその効果

1. 竜胆(りゅうたん)
→ 清熱瀉火(熱を冷まし、火を抑える)。肝と胆の火を鎮める主薬。

2. 黄芩(おうごん)
→ 清熱燥湿(熱を冷まし、湿を除く)。肝火と湿熱を取り除きます。

3. 山梔子(さんしし)
→ 清熱瀉火(熱を冷まし、火を抑える)。肝火を沈静化し、目の充血や痛みを改善。

4. 沢瀉(たくしゃ)
→ 利水滲湿(水分を排出し、湿を除く)。湿熱を排出することで頭痛を軽減。

5. 木通(もくつう)
→ 清熱利湿(熱を冷まし、湿を除く)。体内の余分な湿気と熱を排出します。

6. 当帰(とうき)
→ 養血活血(血を養い、血流を促進)。肝血を補充し、血の滞りを改善。

7. 生地黄(しょうじおう)
→ 清熱涼血(熱を冷まし、血を潤す)。肝火を冷まし、血を潤します。

8. 柴胡(さいこ)
→ 疏肝解鬱(肝の気を流し、抑圧を解く)。肝の気滞を緩和し、イライラを軽減。

9. 甘草(かんぞう)
→ 調和諸薬(他の生薬の効果を調整)。薬全体のバランスを整えます。

10. 地黄(じおう)
→ 補陰清熱(陰を補い、熱を冷ます)。肝火を冷ましつつ陰を養います。

 

適応症と使用方法

適応症

肝火上炎による頭痛(特に感情の変化が引き金)
目の充血や目の痛み
顔のほてり、イライラ
口の苦み、喉の渇き

服用方法

生薬を煎じて1日2~3回服用。
市販のエキス顆粒を使用する場合は、添付文書に従います。

 

注意事項

1. この処方は熱や火の強い症状を対象としており、冷えが主体の症状には適しません。
2. 長期間の服用は避け、症状が改善したら中止するのが望ましいです。
3. 妊娠中や授乳中の方は、専門医の指導を受けて使用してください。

 

解説

竜胆瀉肝湯は、肝火や湿熱が原因の症状、特に頭部や目に現れる不調を解消するために用いられる処方です。この処方は、肝と胆の火を鎮めつつ、体内の湿熱を取り除き、症状を根本から改善することを目的としています。頭痛だけでなく、怒りっぽさや目の充血といった精神的・身体的な肝火の影響全般に対して効果があります。