参苓白朮散
患者の状態:寒湿困脾証
寒湿困脾証は、脾胃が寒湿により影響を受け、運化機能が低下した状態です。冷えや湿気が体内にこもると、消化吸収が悪化し、食欲不振、倦怠感、軟便または下痢などが生じます。この状態では、脾胃の機能を強化し、寒湿を取り除くことが重要です。
おすすめ漢方処方:参苓白朮散(じんれいびゃくじゅつさん)
生薬とその役割
人参(にんじん)
脾胃を補い、気を補充する。疲労や食欲不振を改善。
茯苓(ぶくりょう)
利水作用で体内の余分な水分を排出し、むくみを改善。
白朮(びゃくじゅつ)
脾胃を補い、寒湿を取り除く。
山薬(さんやく)
脾と腎を補い、消化を助ける。
蓮子(れんし)
下痢を防ぎ、脾胃を強化。
薏苡仁(よくいにん)
利湿作用で湿気を除去。
扁豆(へんどう)
健脾作用があり、消化機能を高める。
砂仁(しゃじん)
気の巡りを良くし、脾胃の働きを調整。
甘草(かんぞう)
処方全体の調和を取る。
桔梗(ききょう)
肺の機能を助け、全身の気の巡りを促進。
注意事項
湿熱証との鑑別
湿熱がある場合(口渇や黄疸)は使用しない。
長期服用を避ける
長期間使用すると胃腸が過剰に刺激される可能性がある。
妊娠中の方
事前に医師に相談してください。
ツボ治療の配穴
中脘(ちゅうかん)(みぞおちとおへその間)
胃の働きを助け、寒湿を改善。
足三里(あしさんり)(膝下外側)
脾胃を強化し、全身の気血を補う。
陰陵泉(いんりょうせん)(膝内側下)
湿気を取り除き、脾胃の負担を軽減。
脾兪(ひゆ)(背中、胸椎11番目の下)
脾の働きを改善し、消化を助ける。
食べたら良い食材
寒湿を除く食材
ショウガ:体を温め、寒湿を追い出す。
ねぎ:発汗を促し、冷えを改善。
ニラ:温性で脾胃を補強。
冬瓜:湿を除きつつ消化を助ける。
脾胃を強化する食材
もち米:消化吸収を助ける。
山芋:胃腸を整える。
黒豆:体を温め、脾胃の働きを補う。
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おすすめの生活改善
入浴
温浴(38~40℃)
冷えを取り、血行を促進します。生姜湯やよもぎ湯を入れるとさらに効果的。
運動
ウォーキング
軽い有酸素運動で体を温め、気血の流れを改善。
ヨガ
お腹周りをほぐすポーズを中心に行う。
日光浴
朝の日光浴
15分程度の日光浴で脾胃の働きを活性化させる。
総括
参苓白朮散は、脾胃を補い、寒湿を除去するのに適した処方です。ツボ治療や適切な食材を取り入れることで、脾胃を健全に保ち、寒湿の停滞を解消できます。体を温める生活習慣を心がけ、運化機能を促進しましょう。