五積散
患者の状態:血虚と湿証による気機失調
血虚と湿証(水分代謝異常)が原因で、気機が滞り、体内でのエネルギー循環が異常しています。この状態では、疲労感、むくみ、冷え、重だるさ、月経不調、頭痛や筋肉痛、消化不良などの症状が現れやすくなります。ひどくなると意識障害も引き起こします。治療は原則として「利湿活血」(湿気を取り除き、血流を促進する)を中心に行います。
おすすめ漢方処方:五積散(ごしゃくさん)
生薬とその役割
蒼朮(そうじゅつ)
脾臓を補い、湿気を除去する。消化を助ける作用がある。
茯苓(ぶくりょう)
利水効果があり、体内のじっくりな水分を取り除きます。
陳皮(ちんぴ)
気滞を解消し、胃腸の働きを促進します。
当帰(とうき)
血を補い、血行を改善する。
川芎(せんきゅう)
血行を促進し、瘀血を控える。
白芍(びゃくしゃく)
血を補い、筋肉の緊張を繰り返す。
桂枝(けいし)
血行促進と冷えの改善に効果があります。
厚朴(こうぼく)
気滞を解消し、胃腸の調子を整える。
生姜(しょうきょう)
冷えを改善し、発汗を伴います。
甘草(かんぞう)
脾臓胃を調整し、他の生薬の調和作用を助けます。
注意事項
胃腸が非常に弱い場合は注意
五積散は温性があるため、熱性の症状(のぼせや強い炎症)がある場合には注意して使用してください。
妊娠中の使用には注意
一部の生薬(川芎、桂枝)は妊娠中には慎重な管理が必要です。
過剰な長期服用
医師の指導のもとに服用期間を決めて下さい。
ツボ治療の配穴
三陰交(さんいんこう)
血を補い、気の流れを整える。
足三里(あしさんり)
消化を助け、全身のエネルギーを高めます。
陰陵泉(いんりょうせん)
利湿作用があり、湿気の滞留を解消します。
関元(かんげん)
気を補い、全身を温める。
中脘(ちゅうかん)
胃腸を整え、気血の循環を整える。
食べたら良い食材
血を補う食材
黒豆、ほうれん草、レバー、ナツメ
血を補い、全身の活力を向上。
利湿食材
冬瓜、ハトムギ、小豆
体内の手間な水分を排出する効果がある。
気を巡らせる食材
陳皮を使ったお茶、生姜、柑橘類の
消化を助け、気滞を改善します。
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おすすめの生活改善
入浴
温浴(38~40℃)
生姜やよもぎを使った入浴剤を使用すると、血行促進と冷え改善が期待できます。
運動
ストレッチやヨガ
全身の血流を促進し、気滞を解消します。 特に腰回りや脚の運動を意識します。
ウォーキング
汗で余分な水分を追い出し、全身の血流を良くするために効果的です。
日光浴
朝の太陽を描く
気の流れを整え、体を温めます。10~15分程度がおすすめ。
まとめ
五積散は、虚と湿証による気滞を解消するために効果的な処方です。 湿気を取りながら血行を改善し、全身のエネルギーを高めます。 漢方薬は飲むだけでなく、正しい食事、ツボ治療、生活習慣の改善を組み合わせて症状の改善を図りましょう。