苓桂朮甘湯

体質:貧血(血虚)による

患者は血虚のために体内の気血の巡りが不十分で、患部への気血供給が滞っています。この状態は「不通則痛」(通じなければ痛む)という概念で説明され、痛みが主な症状として現れます。さらに、貧血により体内の水分代謝も低下し、余分な水分(痰湿)が溜まることで気血の流れをさらに妨げる場合があります。これにより、めまいや倦怠感が併発することがあります。

 

おすすめ処方:苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)

苓桂朮甘湯は、気血の巡りを整え、体内の水分代謝を改善する漢方処方です。特に脾虚や水湿停滞による症状に効果的で、貧血に伴う痛みやめまいの改善に適しています。

生薬とその効果

1. 茯苓(ぶくりょう)
→ 健脾利水(脾臓の働きを助け、水分代謝を促進)。余分な水分を排出し、痰湿を取り除きます。

2. 桂枝(けいし)
→ 温経通陽・発表散寒(経絡を温めて通じさせ、気血の巡りを促進)。頭部への気血供給を改善します。

3. 白朮(びゃくじゅつ)
→ 健脾補気(脾を補い、気を高める)。水分代謝を整え、疲労感を軽減します。

4. 甘草(かんぞう)
→ 調和諸薬・補中益気(他の生薬の作用を調整し、全体のバランスを取る)。痛みや緊張を和らげます。

 

適応症と使用方法

適応症

貧血による頭痛
めまい、倦怠感
胃腸の虚弱やむくみ
冷え性や水分代謝不良

服用方法

生薬を煎じて、1日2~3回に分けて服用します。
市販のエキス顆粒を使用する場合は、指示に従って服用してください。

 

注意事項

1. 冷えの症状が強くない場合や体が温まりすぎている場合には、適応しないことがあります。
2. 妊娠中や持病がある方は、使用前に専門医に相談してください。
3. 長期使用する場合は、定期的に専門家の指導を受けてください。

 

解説

苓桂朮甘湯は、貧血や水湿停滞による頭痛やめまいを改善する処方です。脾胃の機能を高め、水分代謝を促すことで、体内の水分バランスを整えます。これにより、気血の巡りが改善され、頭痛や倦怠感を和らげる効果が期待できます。また、日常的な冷えやむくみの改善にも役立つ処方です。