四逆散

体質:気滞血瘀(きたいけつお)による

気滞血瘀は、気の流れ(気機)が滞ることで血の流れ(血行)が阻害される状態を指します。気滞は主にストレスや感情の抑圧、不適切な飲食、運動不足などで起こりやすく、気滞が長引くと血瘀(血の滞り)が発生します。これにより、患部の気血循環が悪化し、疾病を引き起こします。

症状の特徴:

締め付けられるような頭痛
痛みが固定している(特定の部位に集中)
イライラや胸の詰まり感
舌の色が暗く、舌辺に紫斑が見られる
脈が弦または渋滞

 

おすすめ処方:四逆散(しぎゃくさん)

四逆散は、肝の気滞を解消し、気機の調整を行う処方です。気滞を改善することで血行も促進され、患部の気血の停滞による痛みを緩和します。この処方は特にストレスや感情的要因で引き起こされる気滞血瘀に有効です。

 

生薬とその効果

1. 柴胡(さいこ)
→ 疏肝解鬱(肝の気滞を解消し、鬱を解く)。気滞を改善し、肝の気機を調整します。

2. 白芍(びゃくしゃく)
→ 養血柔肝(血を養い、肝を柔らかくする)。気滞による筋肉の緊張や痙攣を緩和します。

3. 枳実(きじつ)
→ 破気消積(気の滞りを解消し、停滞を取り除く)。気滞による胸の詰まりや痛みを改善します。

4. 甘草(かんぞう)
→ 調和諸薬(他の薬を調和させる)。全体のバランスを整え、鎮痛効果を補助します。

 

適応症と使用方法

適応症

気滞血瘀による頭痛
胸や腹部の詰まり感、イライラ
痛みが固定されている(血瘀の特徴)
舌が紫色で脈が弦脈または渋脈

服用方法

生薬を煎じて1日2回(朝・夜)服用します。
エキス剤の場合、1日2~3回、食前または食間に服用します。

 

注意事項

1. 気滞が解消され、症状が改善した場合は、長期の服用を避けるようにしてください。
2. 胃腸が弱い方は、甘草の量を調整するか、医師に相談してください。
3. 血瘀がひどい場合、活血化瘀の生薬を追加することを検討します(例:桃仁や紅花)。

 

解説

四逆散は、特にストレスや緊張による肝気滞の解消に優れた処方です。肝の気機を整えることで、気血の流れを回復させ、頭痛やその他の気滞血瘀に伴う症状を改善します。この処方は「気滞血瘀」という根本原因にアプローチするため、体全体のバランスを整える効果が期待できます。