四君子湯

体質:気虚による頭痛(脾虚気弱、気血不足)
患者は「気虚」の状態にあります。気虚とは、体を支えるエネルギーである「気」が不足している状態を指します。特に脾の働きが弱くなることで気を十分に生産できず、全身の気血の巡りが悪化します。その結果、患部への気血の供給が不足し、「不通則痛」(通じなければ痛む)の理論に基づき、疾病が発生します。このタイプの頭痛は、倦怠感、息切れ、声が小さい、顔色が蒼白などの全身的な気虚の症状を伴うことが一般的です。

 

おすすめ処方:四君子湯(しくんしとう)

四君子湯は、脾を補い、気を補充することで、気虚を改善する基本的な処方です。気の不足を補い、全身の気血の巡りを整えることで、頭痛を解消します。

生薬とその効果

1. 人参(にんじん)
→ 補気健脾(気を補い、脾を強化)。全身の気力を増強し、気虚を改善します。

2. 白朮(びゃくじゅつ)
→ 健脾燥湿(脾を助け、湿を取り除く)。脾の働きをサポートし、水分代謝を促進します。

3. 茯苓(ぶくりょう)
→ 健脾利湿(脾を助け、湿を除去)。脾の機能を高めると同時に、体内の余分な水分を排出します。

4. 甘草(かんぞう)
→ 補中緩急(体を調え、緊張を緩める)。他の生薬の効果を調和し、気を補う働きを補助します。

 

適応症と使用方法

適応症

気虚による頭痛
倦怠感、息切れ
胃腸の不調、食欲不振
声が小さい、顔色が悪い

服用方法

生薬を煎じて1日2~3回に分けて服用します。
市販のエキス顆粒を使用する場合は、添付文書の指示に従ってください。

 

注意事項

1. 気滞(気の流れの停滞)が強い場合は、補気の作用が気滞を悪化させることがあるため、専門医に相談してください。
2. 長期間の服用は控え、症状が改善した後は使用を中止してください。
3. 妊娠中や授乳中の場合は、使用前に専門医に相談してください。

 

解説

四君子湯は、気虚を改善する基本的な補気剤として、幅広い症状に用いられます。特に、脾虚による気虚が原因で発生する患部の疾病に効果的で、体全体のエネルギーを高めることで、症状を根本的に改善します。この処方は、疲れやすい、集中力が低下しているといった全身の虚弱な症状にも効果を発揮します。