四物湯

体質:貧血(血虚)による
患者は、血虚(血液不足)が原因で気血の巡りが悪くなり、患部への十分な栄養供給ができなくなっています。このため、経絡の通りが滞り、「不通則痛」(通じなければ痛む)として痛みが生じています。血虚の状態では、顔色が蒼白または黄色く艶がなく、疲労感、めまい、ふらつき、動悸、不眠などを伴う場合があります。特に女性では月経不順や経血の減少も見られることがあります。

 

おすすめ処方:四物湯(しもつとう)

四物湯は、血を補い、血行を促進する効果がある、血虚を改善する基本的な処方です。この処方は血液の生成を助け、滞った血を動かして経絡を通じさせるため、貧血による痛みを緩和します。

生薬とその効果

1. 当帰(とうき)
→ 補血活血(血を補い、血行を促進する)。血虚による頭痛や冷え性を改善します。

2. 川芎(せんきゅう)
→ 活血行気(血行を良くし、気を巡らせる)。頭部の血流を改善し、痛みを緩和します。

3. 芍薬(しゃくやく)
→ 養血柔肝(血を補い、筋肉をリラックスさせる)。頭痛や筋肉の緊張を和らげます。

4. 熟地黄(じゅくじおう)
→ 滋陰補血(血を増やし、体を潤す)。血虚による乾燥感や虚弱体質を改善します。

 

適応症と使用方法

適応症

貧血による頭痛
疲労感、めまい、顔色の悪さ
月経不順や経血の減少(女性の場合)

服用方法

生薬を煎じて、1日2回に分けて服用します。
市販のエキス顆粒を使用する場合は、添付の指示に従って服用してください。

 

注意事項

1. 消化機能が弱い方は、四物湯が胃腸に負担をかける場合があるため、医師に相談してください。
2. 長期間服用する場合、定期的に医師の診断を受けてください。
3. 妊娠中や持病のある方は、専門医に相談してください。

 

解説

四物湯は、中医学における補血の基本処方として知られています。血を補うと同時に血行を促進することで、頭部への気血の巡りを改善し、貧血による頭痛を効果的に緩和します。特に女性に適しており、貧血や月経不順の改善に広く使用されています。また、体質を整えながら痛みを抑える効果が期待できます。