天王補心丹
患者の状態:心陰虚と内熱
心陰虚の特徴は心を滋養する陰液が不足し、心の機能が低下している状態。
心陰不足による内熱が発生し、次のような症状が現れます。不眠(特に寝つきが悪い、途中で目が覚める)、動悸や息切れ、手足のほてり、のぼせ感、口や喉の乾燥、頻繁な喉の渇き、舌が赤く、苔が少ない、焦燥感、イライラ、集中力の低下。
治療方針は、
滋陰:心陰を養い、身体を潤す
清熱:陰虚により生じた内熱を減らす
安神:心を安定させる
おすすめ漢方処方:天王補心丹
処方構成と生薬の役割
生地黄(しょうじおう)
心陰を養い、熱を冷ます。喉の冷えやほてりを改善します。
麦門冬(ばくもんどう)
心陰を潤し、乾燥や内熱を重視。
天門冬(てんもんどう)
心肺を潤し、気道の乾燥感や熱感を感じる。
酸棗仁(さんそうにん)
安神作用が強く、不眠や操作を改善します。
五味子(ごみし)
滋陰しつつ心を安定させる。
茯苓(ぶくりょう)
代謝水分を促進し、精神を落ち着ける。
遠志(おんじ)
心神を安定させ、集中力を高める。
玄参(げんじん)
清熱効果があり、陰虚による熱を重視。
丹参(たんじん)
血行を促進し、精神安定にも効果があります。
柏子仁(はくしにん)
心陰を養い、安眠効果を高める。
注意事項
アレルギーのある人は慎重に
清熱作用が強いため、冷え性が強い場合は別の処方を検討する必要があります。
長期服用は控える
体質や症状に合わせて適切な服用期間を守ること。
過剰な水分摂取は注意して下さい。
水湿の停滞を考える可能性があるため注意が必要です。
ツボ治療の配穴
神門(しんもん)
心を安定させ、不眠や焦燥感を軽減する。
内関(ないかん)
興奮を抑え、精神安定に効果的。
三陰交(さんいんこう)
心陰を養い、全身の陰陽バランスを整える。
太渓(たいけい)
陰陰を補い、心腎を連携させます。
陰郄(いんげき)
心陰虚に関連する症状を緩和する。
食べたら良い食材
滋陰作用のある食材
梨、りんご、白きくらげ
山薬(やまいも)、黒ごま
豆乳、アーモンド、銀耳(ぎんじ)
清熱作用のある食材
緑豆(りょくとう)、きゅうり
セロリ、トマト
スイカ(適量)、ゴーヤ
避けるべき食材
辛いもの、油っこい食事、刺激物(カフェインやアルコール)
おすすめレシピはこちら
おすすめの生活改善
入浴
ぬるめのお湯(37~39℃)で15~20分浸かり
心身をリラックスさせ、気血の巡りを改善します。
入浴剤
ジャスミンやラベンダーなどのリラックス効果のある香りを添えて。
運動
軽いヨガや太極拳
精神安定を目的とし、ゆっくりとした動きを中心に行います。
ウォーキング
日中に30分程度、自然の中での散歩が効果的です。
日光浴
朝の10~15分程度の日光浴
気分を落ち着けて、心の安定を促進します。
まとめ
「天王補心丹」は心陰虚と内熱により不眠や習慣、口触感などの症状を改善する優れた処方です。 滋陰と清熱、さらに心神を安定させる生薬のバランスが取れています。正しい食事や生活改善と併用することで、体質改善が期待できます。医師の指導のもと、無理のない範囲で実践してください。